最近、白石が部室を出る時間が早なった。

どんなにしんどそうにしててもソッコーで着替えて帰りよる。

何か、事情があるんやろな。

「恋でもしてるんちゃう?」

「やっぱそう思います?」

「・・・は?」

小春と財前が目の前で訳分からん話をしてた。

「最近の蔵リン、変やと思わん?」

「ああ、それは思うけど、恋?」

俺がそう言うと、二人は盛大に溜息をついた。

「先輩鈍過ぎっすわ」

「な、何でやねん!」

「そういや・・・練習中もコートの外キョロキョロしとるんが多かね、白石」

「千歳、お前いつから居てん」

でかいくせに神出鬼没やねんから、コイツ・・・。

「気にせん気にせん」

「気にするわ!」

でも、キョロキョロ・・・確かに、そうかもしれん。

「それで、恋しとる、て?」

その時、ドアがふっ飛びそうな勢いで開く。

「みーんなー!白石がめっちゃアヤしい事してんでー!」

「「金ちゃん」」

「金太郎はん、帰ったんやなかったん?」

「あんな、教室に忘れもん取りに行ってん。そしたら、白石が木の陰でジッとしてんの見た!」

「「・・・は?」」

前々からちょっと変な奴やとは思てたけど、ホンマに変なんか。

「待ち伏せっすね」

「金ちゃん、覗きに行くん、ついてくると?」

「行くー!」

お前、白石の毒手、怖いんやないんか・・・?

「決まりたい」

「え、お前ら皆行くんか?」

何でこんなすぐに決まるんやコイツら。

「「ケンヤは?」」

「先輩、ヘマしそうやから来んといて欲しいっす」

「何やと財前!!行くで、俺も!」





あいつらがあんな事を話してることなど露知らずで待ち伏せしてる俺。

そろそろ、来る頃やな。

隠れ場所から出て、歩き出す。

そしたら、ほら、ビンゴ。

「よう」

「ん、あー、白石。何かよう会うなあ、この頃」

「せやな。ついでや、一緒に帰らん?」

ホンマは、俺が狙てるだけやねん。

「ええよ」



「(白石、ホンマに恋してんのか)」

「(せやからずっと言うてるやないですか)」

「(なーなー千歳ー、めっちゃ可愛いなあ、あの人!)」

「(・・・そうやな)」

「(何で先輩が返事するんすか。あ、手出すんすか?勇気あるんすね、意外と)」

「(そ、そんなんちゃう!)」

「(あ、蔵リン移動するで!)」



「、いっつもこんな時間まで何してんの?運動部やないやろ?」

「家で勉強しても集中できんから、教室で宿題してん」

「ホンマか!?」

「ん」

「真面目やなあ・・・」

そんでこいつあんな賢いんや。

「白石、宿題してないん?」

「してるけど、あんなん適当にやってたらええねん」

「嘘ー。聖書なんやろ?手抜くんや」

「・・・返しにくい事言うな、」

かなわんわ。

「・・・ん」

後ろからチャリの音がする。・・・多分、猛スピードや。

「わっ!」

この道そんなに広ないんやで・・・よりによって側通りやがって。

当たりかけたっちゅーねん。

「スピード落とさんかい、そこのチャリ!危ないやろ!!」

「白石・・・」

「怪我、ないか?」

頷いてはくれたけど、何でか目合わせてくれん。

「白石、あんな?」

「何や?」

「当たらんようにしてくれたんは嬉しいんやけど・・・、そろそろ、放して」

「あ」

勢いでを自分の方に引き寄せたままやった。

「スマン」

「んーん。・・・なー、白石」

また、歩き出す。

「私な、白石の事、好きやねん。付き合って・・・くれんかな」

「え・・・?」

「タイミングおかしいやろ?ごめん。でも、今言うとかなアカン思て」

歩き出した足が止まる。そんで、真赤になってるの顔を見つめる。

「」

「・・・ん」

「俺も、お前ん事好きや。付き合うてくれ」

「・・・ありがと」

赤なってたのがまた赤なって。あーもう可愛過ぎや。

「し、白石!ここ道の真ん中!」

「抱き締めたなってんから、文句言いなや」

「・・・アホ」

「んー、絶頂!」



不揃いなのが可笑しくて



「(ええなあ、白石・・・)」

「(しばらく白石をからかうんは中止たい)」

「(何で?)」

「(のろけで返されると、鬱陶しいっすからね)」

「「(ああ・・・)」」

「(え、何でなん?)」

「(金太郎はんはまだ分からんでもええんよ)」

「(えー!小春のケチー!)」

fin.

【あとがき】「よつばみち」様へ提出させて頂きました。
千歳の熊本弁が分かりません・・・!!
不揃いなのは後ろをつけている部員達の身長、と言う事で。
実はヒロインちゃんは蔵様を待つ為に学校に残ってると良いな。

'09.4.26.作成
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